
2018 フォーラム 第5回 田原本の能
能楽の発祥は大和の地とされています。
「結崎座」、「円満井座」、「外山座」、「坂戸座」は、中世から近世にかけて「大和猿楽四座」と呼ばれました。
現在の「観世流」、「金春流」、「宝生流」、「金剛流」となったそうです。
田原本町味間には、江戸時代末に本堂が焼失し、山門と庫裏、鐘楼が残る禅宗の曹洞宗の「補厳寺」
が有ります … 世阿弥が禅を学び修行した処です。
この地がそんな縁で、5年前からフォーラム が開催されています。

今回は小学生の子ども と 「能の音楽四拍子」を、体験してみよう」 …
そんな募集がありました。
参加の子どもたちは、横笛の「能管」の体験から始まります …
赤井要佑師よりお稽古の挨拶から教わります。
竹製の笛は、漆が塗られ 工芸品の趣があり、内側も幾重にも漆が塗られます。
持ち方から吹き方、子どもたちは何度も何度も挑戦ですが、難しいのでしょうね。
15分の持ち時間で、微かな音???が出るようになった??? そんな感じでした。
次の体験は小鼓 … 荒木健作師より
小鼓は全ての楽器の中でたった1つ、下から打つ楽器だそうです。
持ち方と音色の確認。
紐がたくさんあるので、わかりにくいのですが、左手で紐がWになったところを握り、
右の鎖骨の辺に乗せて、右手を鼓の下にあてて支え、両肘を軽く開いて、構えます。
見て私も自然に真似ていました。
師は軽く右手でポンと打つのですが、ポコ、っと鈍い音。
子どもたちは一生懸命に打つのですが、 … でも小鼓を持てる体験は貴重です。
小鼓は胴の部分と皮の部分とに分かれています…初めて知りました。
使う前に組み立て、しまうときには胴の部分と皮の部分にばらします。
皮は、子馬の皮なんだそうです 。
胴は桜の木を空洞にして、蒔絵が施されていました。
体験 3 大鼓 (おおつづみ)
カーン! という乾いた高い音が響きます。
桜の胴に、麻紐で、馬皮を皮を十分に乾燥させて張って組み立てているそうです。
通常は、指にカバーをはめて打つそうです。
持ち方などの説明を受けています。
左手で調べを持ち左ひざに乗せます。
ひざに乗せたら右手の中指と薬指を打面に軽くそえ、右腕を持ち上げ、
振りおろすように打ちます。
かけごえに「ヤ」「ハ」「ヨーイ」の3種があり、打ち下ろしながら…
ヤ・ハ・ヨーイ … ちょっと恥ずかしそうに聞こえましたよ。
最後の体験 太鼓(締太鼓)
太鼓(締太鼓) 締太鼓の名の通り、調べ緒で締め上げていく工程にかなりの時間を費やすそうです。
お稽古用の太鼓(締太鼓)は絞める調節ができるように、金のねじがはめています。
皮の中央は柔らかい音を出すために、鹿皮が張っているそうです。

本番用は金具が無く、音の調整がされています。
撥締太鼓では先端に向けて細くなっている、バチを使用します。
先が細くなっている分、細かいフレーズを演奏するのに向いているそうです。
太鼓は叩くという意識が有りますが、打ち下ろして跳ねないという感じです。
全ての体験が終わりました … この体験が能の何かのご縁に繋がるかも知れません。
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* 能楽四拍子の体験と並行して、会場では金春穂高師の講座 「能 ・狂言」について
* 秦河勝 聖徳太子と田原本 広瀬 季威氏の講座
* 仕舞いと筝の共演 「葵上」 佐藤 俊之 師 菊ふじ 明歌さん
* 狂言 寝音曲 善竹 忠享師 岡村 和彦師 大槻 尚平師
* 能 「熊坂」 金春 飛翔師 金春 穂高師 他
都の僧が東国を目指し、美濃国・赤坂にさしかかると、一人の僧が現れ呼び止め、
今日はさる者の命日なので弔って欲しいと頼みます。
一体誰を回向するのかと問うと、その名は明かさず、自分を庵に案内します。
庵の中は仏像とてなく、ただ長刀や武具があるばかり。その訳を尋ねると、
この辺りは山賊・夜盗が多く出没し、助けを求める人々のため長刀を携えて駆けつけるのです
と答え、それは仏のみ教えにも適うことと言って、寝室へ姿を消すと見るうちに、
不思議なことに辺りは一面の草むらとなり、松の木の下に世を明かすのでした。
やがて弔う僧の前に、長刀を担いで熊坂長範の霊が現れます。その熊坂こそ弔いの主だったのです。
奥州へ下る金売り吉次一行に夜討ちをかけた熊坂は、逆に一行の中いち牛若丸(後の源義経)に
討たれてしまった最期を詳しく語るのでした。
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笛 ・ 小鼓 ・ 大鼓 ・ 太鼓 教わった先生方の演奏を聞いて、
教わる前と教わる後での聞き方がより興味深く聞かせていただけました。
そして掛け声、好いですね ・・・・ 「ヤ」 「ハ」 「ヨーイ」
とても充実した内容の数時間を過ごさせていただきました。
無料です … 来年はもっと多くの方たちに知ってもらって会場に足を運んでいただきましょう。