大和な雛まつり * 町家物語館(遊廓建築 旧川本楼)

2月23日(日)

穏やかな日和です。

昨年も行く機会を逃してしまったので、穏やかな日和を理由に、

城下町郡山、大和な雛まつり散策に。

大和郡山駅から徒歩6~7分、登録有形文化財 旧川本家住宅 町家物語館。


町家物語館 川本家住宅の近隣 ・・・ 木造三階建の遊廓建築が残ています。

洞泉寺町、遊廓として一世を風靡し、昭和33年に廃業した地域です。

独特の格子の外観など旧遊郭の風情を伝えていますが、現在は空き家で老朽化が進んでいます。

歴史的な景観が失われることになり、地元では惜しむ声も出ていますが、

3月以降、この建物も取り壊されることになったと聞きました。


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格子外観の続く奥まったところに旧川本家住宅。(右全体写真は レリーフより)


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明治期の県内の公認遊郭4カ所の一つ、売春防止法施行で1958年に一斉廃業した。

本館が24年建築の旧川本楼(旧川本家住宅、国登録有形文化財)は大和郡山市が99年に買い取り、

耐震改修後の2018年1月から「町家物語館」として常時公開しています。



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正面は帳場

玄関を入ってすぐ左側は娼妓溜と呼ばれる部屋だそうで、

格子窓から遊女が呼び止めることもあっただろう・・・・テレビの一画面を思い出します。



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旧客引控室に ・・・ 京都御所・紫宸殿を模した「御殿」飾りの雛壇。

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格子障子 ・・・ 会計部屋


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川本楼の半被


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娼妓溜の格子

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客は階段から2階に上がり、そこで遊女と出会う演出がされていた・・・・・


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格子窓の空間


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客座敷

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昭和10年頃の雛飾り。


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2階の階段から階下を ・・・ 廊下の板塀に模様が ・・・ 


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吹き抜け、昭和の歪みのある懐かしいガラス。


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3畳の客間に飾られた雛壇


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客座敷 雛壇と吊るし雛



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金魚の町に因んで金魚の吊るし雛


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廊下を挟んで客間だった杉戸の客間が並んでいます。


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客間は3畳余りの小さな部屋がほとんどです。


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意匠や部屋割りは遊廓建築の独特な造り。


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     各部屋の造りが異なります。  3階への階段。


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3階への大階段の雛飾りは圧巻でした。



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娼妓が使っていたと思われる、呼び名が入った小物入れが当時のまま置かれています。


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屋敷の中央、庭のホッとする吹き抜けの空間


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中庭から吹き抜けを見上げる構造も遊廓建築の特徴だそうです。


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仏間の特徴のある欄間格子や硝子障子の細工に目を奪われます。


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裏階段 ・・・ 色んな物語を記憶していることでしょう。


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吹き抜けの中庭を挟んだ数寄屋造りの座敷棟



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大広間では、宴会場として使われていたらしいです。

3階の8畳の客座敷は、上客用だったとのことです。

客間と裏庭と蔵を挟む廊下には金魚の吊るし雛。


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帳場と仏間


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建築当時の上流花街を伝える旧遊郭 ・・・ 負の遺産ですが良好な保存状態で、

今は登録有形文化財に指定されています。

 古い木造3階建てのため利活用には法的に耐震補強が必要。

 物語館の耐震改修の際は市が約8000万円だそうです。


映像のみの知識だった遊廓建築の内部を、初めて見学できて複雑な気分で感心。

数えきれない物語の涙や笑いが、柱や床に長い歳月とともに染みついていることでしょう。

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